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調査員のおすすめの逸品№377 夏を耐え抜く調査員の装備 

 まさに夏真っ盛り、という季節になりました。紫外線や暑さが気になりますが、夏でも炎天下での発掘調査は行わなければなりません。この時期は、普段の格好を工夫することで夏の様々な問題を乗り切っています。

 真夏に起こる調査員ならではの悩みの種が「照り返し」です。照り返しとは、空から降り注ぐ日光が地面で反射する現象です。照り返しにより地面が白く光り、曇り空や他の季節と比べて土の色の違いが見えにくくなります。これが原因で土層の重なりを誤認して遺構の時期を間違えたり、本来存在する遺構を見落としたりするおそれがあります。

 こうした事態を防ぐための強い味方がサングラスです(写真1)。現場では普段使いするためのサングラスとは少し違う、偏光サングラスを使っています。偏光サングラスは、紫外線だけでなく照り返しをカットします。入ってくる光が少なくなるため視界がかなり暗くなる代わりに、照り返しのせいで見えにくかった土の色の違いを見分けやすくなることがあります。また、まぶしい光がカットされるため、裸眼で一日過ごした時より目が疲れにくいというメリットも。

写真1 偏光レンズのサングラス

 炎天下の暑さ対策として重宝しているのが「ネッククーラー」(写真2)。これはここ数年で着目され、お店で見られるようになりました。ネッククーラーはその名の通り首を冷やす保冷剤のような道具なのですが、水より高い温度で凍るため、休憩時間などを生かして数十分のあいだ、冷蔵庫に入れておくことで1時間は冷たさを維持することができます。

写真2 ネッククーラー

 夏とは少し違うのですが、発掘調査をするために私にとって不可欠な装備として「腰袋」(写真3)もこの場を借りて紹介します。発掘調査では、土を掘る・土を見る・遺物を上げる・記録するなど様々な作業があり、各作業に合わせた様々な道具を用います。腰袋とは、こうした道具を手元にまとめておく鞄のようなものです。私が使っている腰袋はスプレー缶が2本入るサイズで、ポケットが多いため、細長いもの・小さいものが出し入れしやすくなっています。腰袋には、遺構や土層の境目のラインを引く食事用のナイフや、小さな遺構を掘る園芸用スコップ、引いた線が消えないようにするスプレー、図面作成に用いる釘、雨天時の作業に使うゴム手袋などを常備しています。

写真3 腰袋

 夏の現場ではサングラスとネッククーラーに加え、熱中症対策の帽子・日焼け防止のフェイスカバーという完全防備で調査に臨んでいます。難点は顔が完全に覆われているため、怪しい人にしか見えないこと。誤解しないでください、これでも真面目に働いてますよ~!

(森田真由香)

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滋賀県立安土城考古博物館は2025年3月18日にリニューアルオープンしました! その概要は【コチラ】、詳しい内容は【滋賀県立安土城考古博物館公式ホームページ】をご覧ください!

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